この男の笑顔には破壊力がある。
今のはホワイト日山の笑顔ではなく、心の底からの笑顔。
つまり、素の笑顔だ。
私は彼が素で笑う表情が大好きなんだ──
「…とにかく、こんな所で座り込んでんのもあれだから場所移するぞ」
日山くんは「立てる?」と首を傾げて聞いてくる。
「うん、ありがとう!大丈──…やっぱ立てない!!おんぶして!!」
「やだ」
「ばか!!」
「お前がばか」
「なんだとこのヤロー!!」
そう怒鳴ると日山くんはため息をついて「ほら」と言って背中を向ける。
この人、今 私のこと幼稚園児だと思ったな。
ぶくぅ…と頬を膨らませ、日山くんの背中に飛び乗る。
その衝撃で日山くんは「ゔっ…」と苦しそうな声を漏らした。
「鞄は自分で持てよ」
彼はそう言って私を背負い、歩き出した。