追いかけるのを諦めた私は俯き、ズビッと鼻を啜る。
「ひゃーまぐんのあほんだら〜〜……」
座り込み、めそめそ泣いていると、ジャリッと地面を踏みしめる音がした。
「高校生のくせに転んだくらいで泣くなよ」
大好きな人の声が聞こえてバッと顔を上げる。
視線の先にはため息混じりで目の前にしゃがみ込んでいる日山くんの姿。
「ひ、ひやまぐ……もどっでぎでぐれだぁぁ……」
滝のように涙と鼻水が出てきてそれを見た日山くんは「うわぁ…」と目を細める。
「とりあえず、涙と鼻水拭けよ。後、スカートん中見えてるから膝曲げんな」
「…これスパッツだよ」
「んなことわかっとるわ」
「ったく…」と呟いた日山くんは鞄からティッシュを取り出し、そっと涙を拭ってくれる。
「…ひゃーまくん」
「……何」
「ひゃーまくんは誤解をされていると思うので言わせていただきますが、私と千花くんは両想いではありません。私は千花くんの告白をお断りさせていただきました」
「え、そうなの?」
「当たり前だろうが!!私が好きなのは日山くんじゃー!!」
「…ふは、うるさ」
「っ…」
日山くんが可笑しそうに笑うので思わずズギュンッと心臓を矢で射抜かれた。


