頭上に疑問符を大量に浮かべる私と鬼のような形相をしている日山くん。
たぶん、絵面がとんでもないくらいやばいと思う。
「…言っとくけど、美緒に睨まれてちょっと"かわいい"とか一度も思ってねえから」
「……何のこと?」
日山くんマジでどうしたんだろう。
情緒不安定なのかな。
顔を顰める私を見て日山くんは「くそっ…」とどこか悔しそうにがしがしと襟足を掻く。
「美緒は…俺だけ見てればいいだろ」
「──えっ…」
ボソッと呟いた日山くんの言葉に私は聞き逃さなかった。
「お前は!速水のことじゃなくて!俺のことだけ見とけばいいんだよ!!」
顔を真っ赤にしながらそう吐き捨てる日山くん。
そしてファンッ!!とスポーツカーが走り去っていくような音を出しながら日山くんは全速力でその場を後にする。
え、早っ!!
───…って、そうじゃない!!
今のどういう意味!?


