うわ〜おっ。
随分お口が悪いことで。


呆気に取られながらそんなことを思っていると彼の口からとんでもない一言が発せられた。



「──つーか、ちょっと優しくされたくらいで俺のこと好きになるとか女ってマジで馬鹿だよな」


まるで嘲笑うかのような発言に私が持っている山積みのノートが傾き出した。


「…あっ」


気がついた頃には時すでに遅し──


ばさぁっ!!!と半分以上のクラスメイトたちのノートが廊下に散乱する。


「…あ?誰かいる?わり、ちょっと切るわ」


教室の中にいる人物に気づかれたのか、足音がこちらに近づいてくる。

急いでノートを拾うが、それと同時にガラッと扉が開かれた。


目の前にいる人と視線が交わり、「えっ…」という声が上から降ってくる。


彼、日山 永遠くんがとても驚いた表情をしており、目がまん丸になっている。


「花崎、さん…?」

「…ご、ごきげんよう」


あはは〜と作り笑いをし、何事もなかったかのようにノートを拾うことに再開した。


「……大変そうだね、俺も手伝うよ」

「ありが──…えっ!?」


優しい笑顔を向けてくる日山くんがテキパキと散乱されたノートを拾い上げる。