一方、千花くんとはいつも通りに話しているし、学校内で見かけると手を振ったり、たまに喋ったりしている。


『オレじゃだめ…かな……』


千花くんの告白の返事はまだできていない。

返事をしようとはしたものの、千花くんは部活で忙しく、2人でゆっくり話せる時間が設けられないまま中途半端な関係になってしまっている。

千花くんは真剣に私のことを想ってくれていて、胸が痛くなるくらい気持ちが伝わった。

でも、やっぱり心の中には日山くんがいて、どうしても諦めきれない。


夢の中でもとわぴが『諦めるな』って背中を押してくれたから頑張ろうと思う。

少女漫画の主人公のように他の男に乗り換えようなんて考えはしない!!

振られても私は日山くんを好きでい続けるんだ!!

はっはっはっー!!(空元気)


弾き語り活動の時間は終わり、ギターを片付けている最中、ポケットにしまっていたスマホがブブッと震えた。

通知を確認すると母から1件連絡が来ている。


《みおぽん!牛乳切らしたから帰るついでに買ってきて〜♡》


妙な渾名で呼ばないでほしい…と思いつつ、『了解』とスタンプを送る。

心の中でため息をつき、ギターを背負って保育室を出ようとすると悠くんがくいっとスカートの裾を掴んだ。


「みおちゃんまたね」

「悠くん!バイバイ!来週もまた来るね!
今日はお迎えお家の人来てくれるの?」

「うん。ママがおかいものしたあとにきてくれるんだ〜」

「そっか〜」


あまりの可愛さに心が癒されて悠くんの頭を撫でる。


それからして私は保育園を出て帰り道に通るスーパーへと向かった。