「ちょっ…美緒ちゃん手で擦っちゃダメだよ!ほら、ハンカチ!後、鼻水出てるからティッシュ使って!」
千花くんが焦りながら優しくハンカチで涙を拭いてくれる。
「千花くん、ごめん…私、日山くんが好きなの」
「うん、知ってるよ」
「……好きすぎてしょうがないの」
「うん」
「でも日山くんは『千花くんと付き合ったらいいじゃん』みたいなこと言ってきて……ゔぅっ…でもまだ大好きな自分がいて……ゔぅ〜〜っ…」
日山くんを好きになったのはとわぴに似ているからというのもあるけど、
彼と関わっていくうちに、優しい所とか笑うと子どもっぽい所とか、急にツンデレキャラになる所とか、"美緒"って呼んでくれる声とか……
何もかも愛しすぎて知れば知るほど好きって気持ちが増していく。
「オレじゃだめ…かな……」
彼の言葉に「えっ?」と聞き返す。
「オレだったら日山くんみたいに美緒ちゃんを泣かせたりしないよ」
「千花く───…」
「オレは美緒ちゃんを絶対大切にする。『好きになって』とは言わないからさ…オレのことも頭いっぱいになってよ」
千花くんは悲しそうに微笑みながら目尻から溢れている涙をそっと指の腹で拭ってくれた。