私たちの間にはしーんと静まり返り、賑やかな音楽だけが鮮明に聞こえてくる。
火谷くんが私と千花くんの顔を交互に見て「えーっと…」と気まずそうな声を漏らす。
「千花ちゃん、花崎さんに告白してなかった感じ?」
「……まだ、だけど……」
「やっべ〜…マジごめん。告白して返事待ちかと思ってた……」
「あはは〜」と苦笑いを浮かべる火谷くん。
そして「何余計なことほざいてんだてめえ…」と言わんばかりに火谷くんを睨むかよたんと深森くん。
船瀬くんと星川くんも火谷くんと同じ気持ちだったらしく、目を見開いている。
…日山くんは、どういう感情なのかよく分からない表情をしている。
「……ち、ちちちち千花くんが私にこここkoi!?鯉!?故意!?」
スマホのバイブレーションのようにカタカタと震える私をかよたんが「どーどー」と落ち着かせてくれる。
「火谷っ!!おまっ、ほんっとマジでさ〜〜〜っ!!!」
「ごめんって〜。でもまあいいじゃん。せっかくの機会だし告っとけば?」
「っ〜〜〜!!!」
茹で蛸のように顔を真っ赤にする千花くんとぱちっと目が合う。
「えっと、その…美緒ちゃん…」
「は、はいっ…」
千花くんは意を決し、真剣な声色で私の名前を呼ぶ。
「オレ、美緒ちゃんのことが…好きです…!!」
人生で初めて男の子に告白されてどう言えばいいのかわからない。


