***


「今日の日直は…花崎だったか?」

「はい!竹ちゃん先生!」


放課後、終礼が終わり、竹ちゃんこと竹田先生に呼び出された。


「こら〜竹田先生って呼びなさい」

「はい!竹ちゃん先生!!」

「……悪いけど花崎、今日授業で回収したノート職員室に取りに来てくれないか?ノート配るのは明日でいいからさ」

「…さようなら」

「待て待て待て」


帰ろうとした私は竹ちゃん先生に襟を掴まれ、引き止められる。


「何ですか?そういう雑用生徒に押し付けるのってどうかと思うんですけど」

「でも今教室にいるの花崎だけだし」


ふと教室を見渡すと辺りには誰もおらず、私と先生しか残っていなかった。


あれ、かよたんどこ行った?

…って、かよたん今日バイトだから終礼終わった瞬間ダッシュで帰ったんだった。


「私、早く家に帰って推しを愛でないといけないので無理です!」


しかも30冊以上もあるクラスの人数分のノートを職員室から教室へ運べと?

絶対嫌だ。


「その、あれだ。先生の娘も花崎の"推し"が好きらしくてな。缶バッジいっぱい持ってるから譲ろうか?って言ってたんだけど──…」

「がってん承知!!!」


私は敬礼してすぐさま教室を飛び出した。


推しのためならノートだろうがなんだろうがいっぱい運んでやんよ!!