───と、まあなんやかんやありまして……
夏休みに突入し、現在8月。
皆で遊園地へ行く日がやって来た。
かよたんと入り口前に到着すると日山くんと深森くんの姿が目に入り、「やっほ〜!」と声をかける。
「お、花崎ちゃん、かよこちゃん、やっほ〜。終業式ぶりだね〜」
私服姿の日山くんと深森くんは私たちが来たことに気づき、視線をこちらに向ける。
「日山くん!おはよう!私服めっちゃかっこいいね!一瞬大学生かと思ったよ!!」
集合場所に到着した途端、私は早速日山くんの元へ駆け寄る。
グレイッシュベージュ色のゆったりとしたドロップショルダーのメンズ用ブラウス。
ブラウスの中はオーバーサイズのTシャツで下はチャコールグレーのチェック柄ワイドパンツ。
そして靴下、スニーカー両方とも黒で揃えており、左腕にはアナログ腕時計をつけている。
まさに高身長男子しか似合わないファッションである。
ニコニコと微笑む私とは対照に日山くんはじっと見つめてくる。
「…美緒もいいんじゃねえの?」
「え!ほんと!?」
「…うん、その…か、かわ…カワウソみたいでいいと…思う……」
ほんのりと頬を赤くして目を逸らしながら私服を褒めてくれた。


