現在、6限目。

ふと窓の外に目をやると丁度隣のクラスが運動場で体育を行なっている最中だった。


男女共運動場なのか…

そんなことを思いながらある人物の姿を無意識に探してしまう。

すると運動場で元気よく飛び跳ねている花崎さんを見つけ、笑みが溢れそうになる。

体育だからなのか、髪を結んでおり、垂れている部分がゆらゆらと上下に揺れている。

体が小さいため、大きめのサイズの体操服がだぼっとしていて胴長短足に見える。


…なんか、花崎さんってあれだな。
幼稚園児みたいだな。

本人に言うと『幼稚園児じゃないよ!!』と怒るんだろうか…

想像するとなんだか可笑しくなってクスッと笑ってしまう。


そんな時、不意にぱちっと彼女と目が合った。

花崎さんは嬉しそうに目を輝かせ、両手いっぱい広げ、俺に向かって大きく手を振る。

パクパクと口が動いているが、教室は冷房がついており、窓を全て閉め切っているため、何言っているのか分からない。

大声で叫んでいるようにも思われ、彼女の友人、穂波さんやクラスメイトが不審そうな目で花崎さんを見ている。

ニコニコと手を振っている花崎さんにべっと舌を出すと彼女はぱちくりと瞬きをした後、合掌し、一礼する。

1人で合掌している花崎さんを穂波さんが服を無理やり引っ張って授業に参加させる。

不満げな表情を浮かべている花崎さんに俺はまた笑みを溢してしまった。