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「…深森」
「ん〜?」
「最近花崎さんがうるさいんだけどさ、どう思う?」
「花崎ちゃんはいつもうるさくね?特に永遠の前ではめっちゃうるさい」
5限目が終わった後の休み時間。
俺は深森に最近の花崎さんについて質問してみたが、思ってたのと違う返事が返ってきた。
「いや、うるさいのはうるさいんだけど、そうじゃないってゆーか…顔がうるさい、みたいな……」
「うーん、わっかんないな〜…もっと詳しく」
「オーラがうるさい」
「もう一声!!」
「他の女子とは違ってキラキラしてる」
「へーん、ほーん」
深森はスマホをいじりながら適当に相槌を打つ。
「…話聞いてる?」
「ちょっと待って、今彼女にライン返事してるから」
「その人、彼女じゃなくてカラダ関係で繋がってるだけだろ」
「あは、バレたー?」
ヘラッとしながらスマホをポケットにしまう。
「……で?花崎ちゃんが他の女の子と比べてめちゃくちゃ可愛く見えるって?人と人を比べるなんて永遠くんったら最低〜」
「んなこと言ってない」
「心の中ではそう思ってんでしょ?」
「はあ?そんなわけ──…」
否定しようとしたが、何故か口をつぐんでしまう。
確かに俺は一瞬だけど、ほんの1ミリだけ"かわいい"とは思ったことがある。
でもそれ以外は特になんとも───…


