「…と……と……」


しだいには顔が真っ赤になる。

彼に見つめられる瞳に自分の情けない姿が映り、今すぐ透明人間になりたいと強く願った。



「…と、トワイライト……」

「……」



口から出てきたのはまさかの"トワイライト"。

確かに本人の名前が入ってはいるが、英単語が出てくるとは自分でも思わなかった。

…というか、よく知ってたな私。


「…誰が夕暮れだよ」

「…すみません」


はあ…とため息をついた日山くんは掴んでいた私の腕をそっと離した。


「美緒、帰るぞ」

「あ、はい──…って、ええっ!?
ひゃーまく、下の名前で呼んでくれるの!?」

「『美緒って呼ぶ』っつっただろうが」


仰ってましたけども…!!

急に下の名前呼べとか、"美緒"って呼んでくれたりとか、日山くんが何を考えているのか本当にわからない。

でも私のこと下の名前で呼んでくるのは嬉しいし、破壊力があるんだけど…


大好きな日山くんに呼ばれると心臓爆発する!!!


「美緒」

「〜〜っ!!?」


意地悪な笑みを浮かべた日山くんが顔を覗き込んでくる。


「幸せすぎて死ぬ!!!」


今日は日山くんが初めて下の名前を呼んでくれた記念日ということで、しっかりカレンダーに書いておこう。