そう…だよね。
私と日山くんは友達なんだし、下の名前で呼び合うくらい、当たり前のことだよね…

自分から友達になってほしいって言ったくせに、何でこんな悲しくなってるんだろ……


「わ、わかりました。下の名前で呼ばせていただきます…!!」

「…ん、今呼んで」

「今ぁっ!!??」


突然、難易度ハードモードの要望をされ、頭が混乱状態に陥る。

腕を振り解こうとしても、力が強くてびくともしない。


気がつくと日山くんの綺麗な顔が目の前にある。


「あっひゃっ!?お顔が美しい…!!」

「そういうのいいから早く呼べよ」

「ひえええ…(泣)」


むりむりむり!!
私が日山くんの下の名前を呼ぶだなんておこがましすぎる!!


「…と、とわぴではダメでしょうか……」

「それは推しの渾名だろうがよ」

「ですよね」


どうしよう!!ほんとにどうしよう!?

誰か助けて…!!
暗殺者に殺される!!命狙われる!!

でも、呼ぶまで手離してくれなさそうだし……


死を覚悟し、深呼吸をする。


「…と……」


腕を掴まれている部分がじんわりと熱くなり、体温も徐々に上がっていく。