「一ノ瀬。」
 僕は震える手をポケットに隠して話しかけた。嫌われたかもしれない、どうしよう、無理。
 考えるほど辛くなった、目の周りが熱くなってきた。もう無理だ、許してくれるわけない、そう思ったとき
 「ごめんな、急に黙ってどっかにいって。今は一人にしたほうがいいと思った。ホントごめん。」
 僕の目を見て一ノ瀬は言った。嫌われてない、そんなことが頭に浮かんだ。ホッとすると僕は我慢していた涙が溢れていた、またアイツを、一ノ瀬を困らせる。そう思うともっと涙が止まらなくなってきた。
その時頭に柔らかい感触があった。
 「嫌ってないし、お前は悪くない。だから泣くなよ。」
そう言うと一ノ瀬は僕の頭を優しく撫でて微笑んでいた。いつもみたいに髪の毛をグシャグシャにしないで僕を優しく慰めてくれた。
 「ほんとに変なやつでごめん。」
 「んなのしってる笑」
 「は?」
 「ごめんて笑 お、おい!殴るなってっ」
 誤解も解けてまたいつものように一緒に帰った。
 僕たちはあの日と同じコンビニに向かった。
 その日は夕方がきれいだった。