何に対してお礼を言われたのか分からないウィーチェルさんは私のテンションとは反対に、気のない返事を返す。
「すいません、ここに吟遊詩人が来ていると聞いたのですが」
ドアが開いて、痩せたおじさんが一人入ってきた。
「吟遊詩人は、私ですが」
ウィーチェルさんが立ち上がって対応する。
痩せたおじさんは焦った様子で、ウィーチェルさんに近づくと、「フィリーシアって誰ですか?」と尋ねた。
「フィリーシアは、30年ほど前に実際にあった出来事をもとにして作られた歌に出てくる女性ですよ」
へぇ、歌に出てくる女性か。
「娘が、うちの娘がいなくなったんだ。いなくなる前に『私もフィリーシアみたいになるの』と友達に言ってたそうなんだ……フィリーシアはどうなったんだ、教えてくれ!」
娘が行方不明?それは心配だよね。
「フィリーシアは、貴族との身分違いの恋をして駆け落ちします。子供が生まれたころ、貴族はフィリーシアと子供を連れて屋敷に戻ることを許されその後幸せに暮らします」
「身分違いの恋?掛け持ち?」
ウィーチェルさんの言葉に、思わず声を出してしまった。
さっき、スンナおじちゃんの娘さんが貴族と駆け落ちしたとかどうとか言ってたよね?
「そうか、娘は……そうか……。もう今年で17だ。恋をすることもあるだろう……。フィリーシアのように幸せに暮らせるなら……」
痩せたおじさんは肩を落として店を出て行った。
何、貴族との駆け落ちが流行ってるの?っていうか、そもそもそんなに貴族との出会いって市井に転がってる?私、3S男子との出会いが全然ないけど!
……スンナおじちゃんと、さっきの痩せたおじさんの娘さんたちの相手の貴族って、もしかして友達同士で、一緒にお忍びで街に来てたとか?
それで、二人とも運命の人に出会い……。
いや、もしかすると若気の至りで、友達同士で軽いノリで駆け落ちとかしちゃったりしてないよね?
すぐに飽きてぽいと捨てられたりとか……。
ああ、なんだか少しだけ嫌なこと想像しちゃった。
貴族の令嬢は駆け落ちの過去なんてあったらもう貰い手はない。貴族令息は「お遊びもほどほどにね」って言われるだけ。
「すいません、ここに吟遊詩人が来ていると聞いたのですが」
ドアが開いて、痩せたおじさんが一人入ってきた。
「吟遊詩人は、私ですが」
ウィーチェルさんが立ち上がって対応する。
痩せたおじさんは焦った様子で、ウィーチェルさんに近づくと、「フィリーシアって誰ですか?」と尋ねた。
「フィリーシアは、30年ほど前に実際にあった出来事をもとにして作られた歌に出てくる女性ですよ」
へぇ、歌に出てくる女性か。
「娘が、うちの娘がいなくなったんだ。いなくなる前に『私もフィリーシアみたいになるの』と友達に言ってたそうなんだ……フィリーシアはどうなったんだ、教えてくれ!」
娘が行方不明?それは心配だよね。
「フィリーシアは、貴族との身分違いの恋をして駆け落ちします。子供が生まれたころ、貴族はフィリーシアと子供を連れて屋敷に戻ることを許されその後幸せに暮らします」
「身分違いの恋?掛け持ち?」
ウィーチェルさんの言葉に、思わず声を出してしまった。
さっき、スンナおじちゃんの娘さんが貴族と駆け落ちしたとかどうとか言ってたよね?
「そうか、娘は……そうか……。もう今年で17だ。恋をすることもあるだろう……。フィリーシアのように幸せに暮らせるなら……」
痩せたおじさんは肩を落として店を出て行った。
何、貴族との駆け落ちが流行ってるの?っていうか、そもそもそんなに貴族との出会いって市井に転がってる?私、3S男子との出会いが全然ないけど!
……スンナおじちゃんと、さっきの痩せたおじさんの娘さんたちの相手の貴族って、もしかして友達同士で、一緒にお忍びで街に来てたとか?
それで、二人とも運命の人に出会い……。
いや、もしかすると若気の至りで、友達同士で軽いノリで駆け落ちとかしちゃったりしてないよね?
すぐに飽きてぽいと捨てられたりとか……。
ああ、なんだか少しだけ嫌なこと想像しちゃった。
貴族の令嬢は駆け落ちの過去なんてあったらもう貰い手はない。貴族令息は「お遊びもほどほどにね」って言われるだけ。

