婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

 恋歌を聞いてその気になる?ラブレターの文面が思いつかなくても、すでに書いてある?お酒の力を借りたり、周りの人に乗せられる?わざわざ足を運んで頼まなくていいからハードルが下がる?そもそも、ラブレターという存在を知らなかった人間が初めて知ってほしくなる?
 いろいろと3人で考察した結果。
「ウィーチェルさん、ラブレター代筆屋の宣伝大使になってください!」
 これよ!
 吟遊詩人として、ラブレターの宣伝をしながら売り歩く。私の目的は何も代筆屋の繁盛じゃない。ラブレターの普及だ!理由はどうあれ、ラブレターが売れるんだもん。このままやらない手はない。
「え?」
 ウィーチェルさんがびっくりした顔をする。
「今までと同じでいいの。そうね、1枚目から5セインでいいわ。1枚5セインでラブレターを書きます。それを、ウィーチェルさんは買う人の負担にならない金額で売ってください。差額はウィーチェルさんがもらって構いません」
「ええ?いいんですか?」
 いいもなにも、悪いことなんて一つもないよね?
 いっぱいラブレターが売れて、世の中が愛に満ち溢れ、私は恋の橋渡しのお手伝いができる。

■33

「あとは、代読料金の上乗せをどうするかね。引換券を作るか、あらかじめ手紙に料金徴収してある印でもつけておくか……」
 うーんと首をひねっていると、ウィーチェルさんが遠慮気味に口を開いた。
「一律徴収は辞めてもらえませんか?できれば、後払い……代読屋に来た人間をカウントしていただいて、私が売り上げの中からお支払いする形にしたいのですが……もちろん、後払いの信用ができないというのであれば、私がいくらかお金を預けておきますのでそこから差し引いていただければ……」
「え?手紙をもらった人が、必ずしも代読屋を使わないってこと?」
 それって……中身も読まずにポイって話?ああ、そんなの悲しすぎるぅ。振るにしても、手紙くらい読んでからにしてあげて!
「有名であればあるほど、歌の歌詞を覚えている人も多いんで。文字は読めなくても、書いてある歌詞を女性に伝えることができる男性もいるんです」
 歌詞を覚えているから、文字が読めなくても書いてあることが分かる……?
 ああ!そうだよ、そうだ!これよ、これっ!
「ありがとう、ウィーチェルさんっ!あなたのおかげで、いいアイデアが浮かびました!」
「は、はぁ?」