婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「あ、そうだ。看板の話をするついでに、手紙を預かるサービスの宣伝もしようか?手紙だけじゃなくて、ちょっとしたプレゼントも預かることにすれば、サプライズプレゼントにも使えたりしないかな?」
「くすっ」
 私の言葉にアルが笑った。
「おかしなこと言った?」
「いいえ。なんだか、リリィーと駆け落ちしたら、僕よりリリィーの方が稼ぎそうだ」
 私と、アルが駆け落ち?
「プレゼントを預かるとなると、保管の問題が出てくるでしょう。盗難の可能性が出てくる。そのあたりはもう少し慎重に検討したほうがいいと思います」
「あ、ええ、そうね。高価なものを預かって万が一のことがあれば、責任問題にもなるわね……」
 思い付きでまた行動しようとしちゃった。反省。とりあえずは手紙の預かりの件だけ宣伝にとどめよう。
 看板の取り付けして執筆屋の宣伝して、それから街を少し歩いて、取り外しができるお店の看板とできない看板。看板以外に文字を書かせてもらえそうなところとチェックしてまわった。
 はじめは、街を歩くのがちょっと怖かったけど、アルと一緒なら平気。だんだんと行ける場所が増えてきたよ。今度は噂のおいしいお肉のお店に行ってみたい。あれ?私が行きたいと思う店って、食べ物関係ばっかり?可愛い雑貨屋に行ってもアルは退屈しちゃうだろうし。そういう店はメイシーと一緒に行きたい。食べ物屋なら、アルも楽しめるよね?あれ?護衛にも楽しんでもらおうなんて、今まで考えたことあったっけ?
 戻ってから、店番しながらチェックした店をどのように回ろうかアルと相談する。どういう順番で1日何件くらい回るか。
「こんにちは」
 あ、お客さんだ。
「いらっしゃいま……」
 立ち上がってカウンターに向かいながら入り口に目をやり、思わず叫び声をあげる。
「うわーっ、アルー、アルー、来た、出た、来たっ!」
 私の叫び声にアルが素早くドアに立つ人物の退路を塞ぐように入り口に移動し立ちふさがった。
「え?あの……」
 何が起こったのか分からないまま、色気のある小ぎれいな明るい緑の服を着たブロンドの男性。
 ラブレターを何枚か注文した、女の敵!まだ、ラブレターを配り歩く気か!
「あなたのしていたことは全てズバッとお見通しです!観念なさい!」
 びしっと、何かの小説に出てきた決め台詞を口にする。