婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「取りに来た者は読めない文字もあるから、もしかしたら分からないところを読んでほしいと言うかもしれない。代読もこちらに依頼することはできないか?金は出す」
 ……また、金ねぇ。
 あれ?でも、ちょっと待って?代筆屋でラブレターを書くでしょ?好きな相手には「代筆屋に手紙を取りにいってくれ」と伝える。わざわざ代読屋へ行かなくても、とりにきたついでに内容を読んでもらえる。もしかすると、すぐに返事の代筆依頼をしてもらえるかもしれない。
 いいんじゃない?この、手紙を預かって渡すシステム!
「承知いたしましたわ!お金は」
 要りませんと言おうとして、口をつぐむ。
 今後、代筆屋をする人のためにもきちんと値段を設定しなければならないと言われたんだ。いったい、手紙を預かって、渡す相手に代読してあげるというのはどれくらいの値段にすればいいんだろう?代読なら1セインだ。預かり料金も取った方がよいのだろうか?
 ああ、エディがいてくれたら相談できるのに。
 午後には領地へ向かうって言っていた。もう出発していないかもしれない。いや、いたとしても準備の邪魔をしちゃだめだよね……。
 どうしよう……。お客さんをずっと待たせる分けにもいかない。決めなくちゃ……。
 そこに、救世主が表れた。
「エディ!」
 店のドアにエディの姿を見つけて、緊張がふっと解けた。
「出発のあいさつをしようと思って、おや?お客さん?」
「あの、こちらのお客さんが書いた手紙を店で預かって欲しいっていうんです。後で取りに来る人に渡して欲しいって。その人に代読してほしいそうなんです。それで、今その料金を……」
 簡単な私の説明で、エディはすべて理解したのか、つかつかとカウンターの内側に入り、私の隣に並んだ。
「受けとる人はいついらっしゃる予定ですか?手紙の預かり期間は1週間で1セインとなります。1週間を超えても取りに見えない場合は破棄させていただきます。もし、破棄してほしくないというのでしたら、1週間後にご来店ください。その時に追加で1セインいただき、また1週間保管いたしましょう」
 すらすらとエディの口から言葉が出てくる。