と、手遊び歌に合わせて野菜でお手玉を始めた。
「上手いもんだな」
アルが感嘆の言葉を漏らすと、子供が自慢げに笑って見せる。
「迷惑じゃなければ、またパンをもらってほしいの」
「え?いいんですか?」
「ええ。後で届けるわね」
ドナさんと別れるとアルがぽつりとつぶやいた。
「違うんだね」
「違う?」
「お手玉をするときの歌」
「ああ、そういえば、野菜の歌だったね。私が小さいころ遊んだ歌は、宝石一つ、くださいな~、どんな宝石あげましょう、緑の宝石、くださいな~って。歌詞は少し違うけれど、節は一緒なんだね。面白いね」
「上手くできないって泣いてたけど、あれから上達した?」
「ん?誰の話?」
「あ、いや、何でもない。さぁ、急いで戻って仕上げようか」
アルが脚立と看板を持ち上げた。
「あれ?お客?」
店のドアの前に1人の男性が立っている。
見たことがある。そうだ、ライカさんの店のお客さんで「貴族らしくない貴族」の男だ。
貴族がなんの用かな?文字なら自分で書けるはずだけど?
「えーっと、何か御用でしょうか?」
「ああ、代筆を頼みたい」
なんで、貴族が?
■29
と思ったけれど、お客はお客だ。店に通し、カウンターに案内して基本的な説明をする。
「代筆を頼むにあたって、確認したいことがある。代筆内容を人に話すことはあるのか?」
「ありません」
誰々が誰々あてのラブレター頼みに来たよ~なんて言って回るわけないよ。
「代筆を頼んだ物を別の人間に渡してほしいんだが、頼めるか?」
え?自分でラブレター渡せないから、代わりに渡してくれってこと?
返答に間が空くと、男はこつんと小さくカウンターをたたいた。
「金は出す」
金さえ出せば、何でもみんなハイハイ従うと思わないでほしいなぁと、ちょっとイラっとする。
「申し訳ありませんが、私たちの店はぎりぎりの人数で営業しておりますので、配達のために店を開けることができません」
「ああ、配達はいい。代筆してもらったものを、別のものが取りに来るから渡してほしい」
「ええ、営業時間内でしたら構いません。料金も基本のままで結構です。」
貴族風の男はほっと息を吐いた。
「それから」
まだ何かあるの?
「上手いもんだな」
アルが感嘆の言葉を漏らすと、子供が自慢げに笑って見せる。
「迷惑じゃなければ、またパンをもらってほしいの」
「え?いいんですか?」
「ええ。後で届けるわね」
ドナさんと別れるとアルがぽつりとつぶやいた。
「違うんだね」
「違う?」
「お手玉をするときの歌」
「ああ、そういえば、野菜の歌だったね。私が小さいころ遊んだ歌は、宝石一つ、くださいな~、どんな宝石あげましょう、緑の宝石、くださいな~って。歌詞は少し違うけれど、節は一緒なんだね。面白いね」
「上手くできないって泣いてたけど、あれから上達した?」
「ん?誰の話?」
「あ、いや、何でもない。さぁ、急いで戻って仕上げようか」
アルが脚立と看板を持ち上げた。
「あれ?お客?」
店のドアの前に1人の男性が立っている。
見たことがある。そうだ、ライカさんの店のお客さんで「貴族らしくない貴族」の男だ。
貴族がなんの用かな?文字なら自分で書けるはずだけど?
「えーっと、何か御用でしょうか?」
「ああ、代筆を頼みたい」
なんで、貴族が?
■29
と思ったけれど、お客はお客だ。店に通し、カウンターに案内して基本的な説明をする。
「代筆を頼むにあたって、確認したいことがある。代筆内容を人に話すことはあるのか?」
「ありません」
誰々が誰々あてのラブレター頼みに来たよ~なんて言って回るわけないよ。
「代筆を頼んだ物を別の人間に渡してほしいんだが、頼めるか?」
え?自分でラブレター渡せないから、代わりに渡してくれってこと?
返答に間が空くと、男はこつんと小さくカウンターをたたいた。
「金は出す」
金さえ出せば、何でもみんなハイハイ従うと思わないでほしいなぁと、ちょっとイラっとする。
「申し訳ありませんが、私たちの店はぎりぎりの人数で営業しておりますので、配達のために店を開けることができません」
「ああ、配達はいい。代筆してもらったものを、別のものが取りに来るから渡してほしい」
「ええ、営業時間内でしたら構いません。料金も基本のままで結構です。」
貴族風の男はほっと息を吐いた。
「それから」
まだ何かあるの?

