婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「私も、メイシーと本の話とかできなくなるのは寂しい……そうだ、一緒に側室になるっていうのは?」
「あ、それは名案ですっ!二人とも側室になれば、後宮で一生一緒にいられますね!」
 私とメイシーが側室もいいかもなんて盛り上がり始めたところで、殺気を感じた。
「リリィー、本気じゃないよね?」
 アルの目が怖いです。
 ううう、すいません。そうですね。友達と一緒にスィーツ食べに行くようなノリで側室されたんじゃ、国民はたまったもんじゃないですよね。
 ごめんなさい。

 部屋を一歩でれば、ロッテンさんのレッスンは終了。
「リリィー様、着替えたらすぐにお部屋に伺います」
 と、メイシーは走らないけれど速足で部屋に自室へと向かって去っていった。さすがに侍女の仕事に舞踏会用のドレスは動きにくいのはわかる。
 だけど、すぐに一緒にお茶飲みながらいろいろと話がしたいよぉ。
 カチャリ。
 メイシーの後姿を見送って廊下に立っていたら、エディが姿を現した。
「リリィー、俺は本気だ。俺と婚約しろ。側室なんかにはさせない」
 エディに手首をつかまれ、体を引き寄せられる。
 驚いて言葉を返せないでいると、再びドアが開きアルが姿を現した。
「アル!」
 なぜか、アルの姿を見たら声が出た。エディには一言も言葉を返せなかったのに……。
 エディはすぐに私の手を放すと、何事もなかったかのように廊下の奥に消えた。
 アルが何か言いたそうに私の顔を見てる。
 違う、私とエディは別に何でもないって、口にしそうになって慌てて自室に駆け込んだ。
 何でもない?
 元婚約者で、今、再び婚約しないかと言われていて、何でもないとか……なんでそんなこと言おうとしちゃったの私……。
「お待たせいたしました。あれ?リリィーまだドレスを着たまま?」
「あ、うん、ちょっと考え事してて……」
 後ろボタンじゃない限り、ドレスを脱ぐのは一人でもできる。
「考え事?側室の話?あれはビックリしました。なんだかロッテンさんの様子を見ると、”一応”とか”いざというときのため”っていうレベルを超えてますよね?」
 メイシーは二人っきりになったので友達モードで話はじめた。とはいえ、侍女の仕事をさぼるわけではなく、てきぱきとお茶の準備をしながら口を動かす。