婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

 エディもアルも、私からしたらずいぶん完璧に思えたけれど……ロッテンさんからすれば、まだまだ勉強すべきところがあるんだね……。
 そりゃぁ、お父様もロッテンさんには頭が上がらないはずだ……。

 ダンスレッスンが終わるとそのまま食事。これまた食事のマナーのレッスンを兼ねたもの。
 食べ方だけならとっくにマナーは身についている。そりゃぁ、スプーンを持つようになってから毎日チェックされてるわけだから、いい加減身につくってなもんだ。
 問題は、きちんとした場面での会話の内容。めんどくさいんだよ。上の立場とか下の立場とかで口を開いていいタイミングがどうとか。既婚者と未婚者で話題にしていい内容がどうとか。
 男性は、狩りの話題が無難。女性は装いの話題が無難。
 男性は戦争など血なまぐさい話はNG。女性は誰かをけなすような話題はNG。
 ……うん、女性が集まると、誰々がどうのって悪口三昧の人いるもんねぇ。そういう話聞きながら食事とか、確かにいやだわ。ルールも必要……。
「では、次にアル様は王様役をしていただけますか?」
 身分の上下があった場合のレッスンなので、それぞれいろいろ立場を変えて会話の練習になるわけだ。公爵令嬢の私の上のたちばの人間といえば、王族だから、そりゃレッスンのためには王様役は必要だよねぇ。
「え?ぼ、僕が、王様?いや、王様になる予定はないけどっ!」
 と、アルが焦った声を出す。
「ふふっ。アル、王様になる予定なんて私にもないわよ。私たちが王様に対して接するためのレッスン上の役割だから」
「あ、うん、そうだね、わかった。王様役……」
 私の言葉に、アルが視線をさまよわせる。
 王様役って突然言われても戸惑うか……。普段陛下に接する機会がなければ、どのように口をひらけばいいかわからないもんね……。
「リリィー様は側室役をしていただきましょう。メイシー様とエディ様には、それぞれ伯爵と子爵令嬢という今のお立場でレッスンしていただきます」
 ロッテンさんの言葉に
「え?私が、側室?側室になる予定はないんだけどっ!」
 と、思わず口走り、あれ?これじゃぁアルと同じじゃないかと口をふさいだ。
「そうですよ、ロッテンさん、リリィーが側室って……」
 アルも驚いた声を出す。