「紙代に、陶板印を作るための費用、インク代、作業する人間の手間賃、思いつくだけでもかなり必要だと思うが」
確かに。自分たちで書き写す分には、紙代とインク代だけだけれど……。
考えろ。考えるんだ。
私のお小遣いを使ったり、公爵家や伯爵家にわがままを言って出してもらうのは簡単だ。
だけど、これは識字率を上げる目的だし、配っておしまいにしたくない。もっと人を巻き込むには……。
「ねぇ、エディ、この技術を売り込めないかしら?」
「売り込めるだろうね。御触れなど同じ文言を大量に書く必要がある場合もあるからね。文字ならまだいいが、人相書きなど同じように書くのが難しいものにはさらに有用だろう」
そっか。
「あれ?でも技術を売り込んでも予算にはつながらない?」
首をひねる。
この技術で本を作って売って費用を稼ぐ?そっちの方が現実的?
「これだけの技術だ。交渉を間違えなければ、予算を採ることはできるよ」
「交渉?」
交渉なんてどうすればいいの?
「ちょうどいい。今度、第二王子の婚約者選びも兼ねた快気祝いが執り行われる……。その機会を利用して交渉しよう」
「え?第二王子の快気祝いに交渉って、誰と交渉するつもりなの?」
エディがにぃっと悪だくみをするように笑った。
「言ったろ?御触れや人相書きに役立つと。そういったものを出すところと交渉するのさ」
御触れを出すところって……。
「国と?宰相であるお父様と話をするってこと?」
エディは是とも非とも言わない。
「リリィ、君も王都に行くだろう?」
私の手を取って、少し心配そうに私の顔を見るエディ。
お父様と交渉するのであれば、私がいた方が話が進みやすい?それとも、私がいるとただの親へのわがままみたいになっちゃう?
返事に戸惑っていると、エディが言葉をつづけた。
「あの噂は広がっていないよ。誰にもばれていないようだから安心して」
……私がさらわれたこと。あれから1か月は経っている。それで何も噂されていないというならば、あの事件は誰にもばれていないということだろう。
そもそも、私はあの時公爵令嬢という身分を隠していたから、さらわれたのは代筆屋の町娘だ。町娘の事件など、貴族は興味がないということだ。
「噂が広がっていなくて……本当によかった」
安心したからなのか、頬を涙が伝った。
「リリィー」
確かに。自分たちで書き写す分には、紙代とインク代だけだけれど……。
考えろ。考えるんだ。
私のお小遣いを使ったり、公爵家や伯爵家にわがままを言って出してもらうのは簡単だ。
だけど、これは識字率を上げる目的だし、配っておしまいにしたくない。もっと人を巻き込むには……。
「ねぇ、エディ、この技術を売り込めないかしら?」
「売り込めるだろうね。御触れなど同じ文言を大量に書く必要がある場合もあるからね。文字ならまだいいが、人相書きなど同じように書くのが難しいものにはさらに有用だろう」
そっか。
「あれ?でも技術を売り込んでも予算にはつながらない?」
首をひねる。
この技術で本を作って売って費用を稼ぐ?そっちの方が現実的?
「これだけの技術だ。交渉を間違えなければ、予算を採ることはできるよ」
「交渉?」
交渉なんてどうすればいいの?
「ちょうどいい。今度、第二王子の婚約者選びも兼ねた快気祝いが執り行われる……。その機会を利用して交渉しよう」
「え?第二王子の快気祝いに交渉って、誰と交渉するつもりなの?」
エディがにぃっと悪だくみをするように笑った。
「言ったろ?御触れや人相書きに役立つと。そういったものを出すところと交渉するのさ」
御触れを出すところって……。
「国と?宰相であるお父様と話をするってこと?」
エディは是とも非とも言わない。
「リリィ、君も王都に行くだろう?」
私の手を取って、少し心配そうに私の顔を見るエディ。
お父様と交渉するのであれば、私がいた方が話が進みやすい?それとも、私がいるとただの親へのわがままみたいになっちゃう?
返事に戸惑っていると、エディが言葉をつづけた。
「あの噂は広がっていないよ。誰にもばれていないようだから安心して」
……私がさらわれたこと。あれから1か月は経っている。それで何も噂されていないというならば、あの事件は誰にもばれていないということだろう。
そもそも、私はあの時公爵令嬢という身分を隠していたから、さらわれたのは代筆屋の町娘だ。町娘の事件など、貴族は興味がないということだ。
「噂が広がっていなくて……本当によかった」
安心したからなのか、頬を涙が伝った。
「リリィー」

