婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

 お屋敷でも、御者見習いで馬の世話を始めたり、侍女見習いで洗濯女として働き始めたりする年齢だ。
「昼間働いて、夜に写本の内職?……明かりも必要となると、蝋燭代もかかるし……」
 と、そこまで言ったらメイシーが冷たい声を出す。
「目も悪くなるでしょうから、すすめられませんね」
 うっ。
 そうだ。どうしても続くが読みたくて、蝋燭の明かりで本を読もうとして何度も叱られました。「目が悪くなる!」って……。
「じゃぁ、代筆屋や代読屋の店番している間に写本するのが現実的なのかなぁ……」
「ああ、それはいいですね。代筆屋単体での儲けはまだ難しいとエディ様もおっしゃっていましたし。ですが、本を買う人間との繋ぎ役が必要になりますね」
 ああ、そうか。
 本を買うのは貴族や大商人が中心だ。代筆屋がおいそれと貴族と会えるわけはないわけで。貴族との繋ぎ役が必要なわけね。
 貴族と取引のある大商人?本屋?商売っ毛を出されすぎると、写本料金買いたたいたりしないかなぁ。文字の良しあしで減額とか?一定金額にすると、今度は逆に質の悪い写本でも数を稼ごうと誤字脱字お構いなしな写本が流通しても困るし。
 きちんと内容を精査し、公平な料金を算出する機関が必要ってことになるのかな。本屋に少しだけ公的な働きかけをするのがいいのかな?
 きちんとした査定ができる人間に「本屋開業免許」みたいなの?取り扱ってる本が粗悪だったり、写本料金をごまかしたりする業者は免許取り上げとか……。
 メイシーにも考えたことを話す。
「本屋開業免許ですか。写本をすることがある程度の収入につながるとわかれば、確かに写本をする人が増えて本も増えるかもしれませんが……。そもそも、写本をするための元の本はどうするんですか?」
 あ。
 写本をしてお小遣いを稼がないといけない人間が、高価な本を持っているわけがない。
 そうだった。
「いろいろ、難しいねぇ……」
 代筆屋兼写本屋とうのも、写本元となる本があってこそか。本は高価なだけに、貸し借りするにしても信用のおける人間か、保証金を用意できる人間しかできない。ってことは、結局……。
 今までのように、貴族や大商人が気に入った作品の写本を人を雇ってやらせる形になるの?
「あー、結局、写本以外の方法を見つけないとダメってことねっ!」