婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

 待って、何を見て、少ないと言ったの?私はあの時、枚数かと思ったけれどそうじゃなかったら?何?
 地図に書き込んである情報が少ない?
 文字が少ない?
 あとは、数字?
 16と17と13の3つ。
 16が少ない?17が少ない?13が少ない?
 それとも、数が3つが少ない?
「あれ?この3つの数字……どこかで……最近……何かに共通……」
 あっ!
 まさか、そんなっ!
 手から紙が落ちる。
 もし、私が今考えた通りであれば……。
 すぐに店を飛び出そうとして、いつものようにアルがいないことに気が付いた。
 急いで、ロゼッタマノワールにいる護衛を一人呼び、馬を出してもらう。
 馬にまたがり、西門を通り領都の外へ。

■41

 カールさんに頼まれた地図は覚えている。
 この間ピクニックに来た時に見た、鷲の形の岩。すすき野原。あとは三本杉を探さないと。
 指先から血の気が引いて冷たい。
 もっと早くに気が付いていれば。
 領都で、貴族らしき人物の目撃例はあった?
 カールさん以外に、それらしい人は見た?
 私もアルも看板に文字を書くことにしてから結構街中を歩いたけれど、噂も聞かなければ姿を見たこともなかった。
 それなのに、3人も貴族と駆け落ちしたというのはおかしい。
 こっそり行動していた?
 すぐに市井の女性と、それも未成年と駆け落ちするような考えなしが、身分を上手に隠せるだろうか?
 隠せるわけがない。
 もし、うまく隠しきるだけの能力があるならば、駆け落ちという最悪の手段に出ることもないはずだ。
 ということは、領都に貴族の令息なんて来てなかったということになる。
 そもそも、お忍びだろうと、貴族の令息が数人固まって移動するならば、お父様の耳に入らないわけがないのだ。領内で何かあっては貴族間の抗争につながることもある。だから、貴族は移動の際、その領主には先ぶれをする習わしがある。
 密偵など何らかの役割があれば別だが、単にお忍びで遊びに行くのであれば来る前連絡があるはずで。
 領都に何人もの貴族の子息が来るならお父様はご存知なはずで、私の耳にも入る……よね?
 ん?入らないように情報シャットアウトされてる?でも、貴族と駆け落ちという事件が立て続けにあったなら、動きはあっていいはずだ。

 貴族の子息は、領都には来ていなかった。
 貴族のふりをした人間はいた。