何かを思い出したかのように、ライカさんが声を潜め、私の耳元で話を続ける。
「うちのお客さんで、貴族かなと言っていた人いるでしょう?なんか変なのよね」
うちにも来た、カールさんのことだよね?
「え?変?」
確かに貴族の私たちから見れば、貴族としてはいろいろ残念な感じではあったけれど。
「この間リリィーちゃんに文字を教えてもらったでしょう?」
ああ、「す」と「き」の二文字。
「誰かに見てもらいたくて、来た時に机の上に書いたのよ。好きなんて言葉書いたら驚かせちゃうかなぁとは思ったけど、忘れないうちに文字を知ってる人に見せたくて」
いや、ライカさんいくら文字を覚えてうれしいからって、カールさん驚いただろうなぁ。いきなり「すき」とか文字見せられても。
「そうしたらね、書いた文字見てなんていったと思う?」
「私もですとか?」
「やっだぁーっ!違うわよぉ」
ライカさんがけたけたと笑った。
「それがね、『素敵な名前ですね』って言ったのよ」
は?
「もしかして、読めませんでしたか?って言ったら、すごく驚いた顔してそのまま店を出て行っちゃったのよ。ちゃんと書いたつもりだったんだけど、間違ってたのかなぁ?」
そこまで話して、ライカさんは接客に戻って行った。
「あー、それって……」
アルと顔を見合わせる。
代筆屋に来て変だなぁとは思ったんだけど、文字の読み書きができないのか。
「街で、自分の名前を書くのが流行ってるから、ライカさんが書いた文字も名前だと思ったんだろうね」
とアルがつぶやいた。
食べ方やしぐさが貴族っぽくないだけでなく、文字すらかけないなんて……。
食事を終え、看板設置と固定看板書きで街を回る。アルが看板作業をしている間に、ライカさんに聞いた歌について調査。
歌う人によって微妙に歌詞が違っている歌は排除して、ほとんどの人がまるっきり同じ歌詞で歌っている歌を3つに絞った。
一つは貴族の間でも知らない人がいない歌。あとの2つは初めて聞く歌だった。
歌についての情報はずいぶん集まったわ。あとはメイシーが集めてくれた情報と照らし合わして最終決定すればいいわね。
カチャリと代筆屋の店のカギを開けて、店内に入るか入らないかのタイミングで人が飛び込んできた。
「サシャスの使いのもんだ。預かってる物を受け取りに来た」
「うちのお客さんで、貴族かなと言っていた人いるでしょう?なんか変なのよね」
うちにも来た、カールさんのことだよね?
「え?変?」
確かに貴族の私たちから見れば、貴族としてはいろいろ残念な感じではあったけれど。
「この間リリィーちゃんに文字を教えてもらったでしょう?」
ああ、「す」と「き」の二文字。
「誰かに見てもらいたくて、来た時に机の上に書いたのよ。好きなんて言葉書いたら驚かせちゃうかなぁとは思ったけど、忘れないうちに文字を知ってる人に見せたくて」
いや、ライカさんいくら文字を覚えてうれしいからって、カールさん驚いただろうなぁ。いきなり「すき」とか文字見せられても。
「そうしたらね、書いた文字見てなんていったと思う?」
「私もですとか?」
「やっだぁーっ!違うわよぉ」
ライカさんがけたけたと笑った。
「それがね、『素敵な名前ですね』って言ったのよ」
は?
「もしかして、読めませんでしたか?って言ったら、すごく驚いた顔してそのまま店を出て行っちゃったのよ。ちゃんと書いたつもりだったんだけど、間違ってたのかなぁ?」
そこまで話して、ライカさんは接客に戻って行った。
「あー、それって……」
アルと顔を見合わせる。
代筆屋に来て変だなぁとは思ったんだけど、文字の読み書きができないのか。
「街で、自分の名前を書くのが流行ってるから、ライカさんが書いた文字も名前だと思ったんだろうね」
とアルがつぶやいた。
食べ方やしぐさが貴族っぽくないだけでなく、文字すらかけないなんて……。
食事を終え、看板設置と固定看板書きで街を回る。アルが看板作業をしている間に、ライカさんに聞いた歌について調査。
歌う人によって微妙に歌詞が違っている歌は排除して、ほとんどの人がまるっきり同じ歌詞で歌っている歌を3つに絞った。
一つは貴族の間でも知らない人がいない歌。あとの2つは初めて聞く歌だった。
歌についての情報はずいぶん集まったわ。あとはメイシーが集めてくれた情報と照らし合わして最終決定すればいいわね。
カチャリと代筆屋の店のカギを開けて、店内に入るか入らないかのタイミングで人が飛び込んできた。
「サシャスの使いのもんだ。預かってる物を受け取りに来た」

