そうなると、また書いて配るにはとても労力が必要になる。んー、一度にたくさん書くことできないのかなぁ?時々、インクが下に移って困ることあるけど、逆にそれを利用できないかな?紙を2枚重ねて、インクたっぷりつけて書くとか。
「うわー、にじむだけで、全然ダメ!」
「何が全然だめ?」
アルが、出来上がった看板を手に顔を出した。
「んー、一度に何枚も文字が書きあがらないかと思って」
私が書き損じた紙を持ち上げてアルが笑った。
「リリィーは面白いこと考えるね」
「笑ってないで、アルも考えてよ!」
「大量にサインしなくちゃならない人間は、サインする代わりにハンコを使っているけれど、そういうの作れないかな?」
「ハンコ?」
インクを付けて紙に押し付けるアレだよね。手紙の封蝋に押す印とは違って、確か文字が逆になってるやつ。★まちがってる★
それを、この紙のサイズで作るの?
「言ってみたものの、現実的じゃないな。ハンコも一つ作るのに金細工師が長い時間をかけて仕上げるんだ。サイン替わりの数文字のものでさえすさまじい時間と費用が掛かる」
うん、確かに。偽造防止も必要なため、職人の数も少ない。金属を掘るための道具も技術も一部の人間にしか伝わっていない。
■38
「いらっしゃい。今日も早いわね」
ライカさんがいつもの明るい笑顔で迎えてくれた。
「注文はいつもの。それから、教えてほしいことがあるの」
早く来店したのは、空いている時間にライカさんと話がしたかったからだ。
「小さな子から大人までみんなが歌える歌を知らない?『お野菜一つ、くださいな~』みたいな」
「うわー、『お野菜一つ~』って懐かしい。えっと、他にはそうねぇ『かご、かご、ゆーりかご』とか」
いくつかの歌をライカさんが一節歌ってくれる。それをメモ。聞いたことのあるものもあった。後は街の人がどれだけ知っているのか調べないと。
「ありがとう、ライカさん」
「いえいえ、どういたしまして。リリィーちゃんはいつも新しい面白いこと始めるから、また何をするのかなぁってワクワクするわ」
そういってもらえると嬉しい。
「そうだ、ライカさん、貴族には気を付けて!」
ライカさんのような若い娘を狙って遊び捨てる貴族の放蕩息子がいるみたいだから念のため口にする。
「あ、貴族といえば……」
「うわー、にじむだけで、全然ダメ!」
「何が全然だめ?」
アルが、出来上がった看板を手に顔を出した。
「んー、一度に何枚も文字が書きあがらないかと思って」
私が書き損じた紙を持ち上げてアルが笑った。
「リリィーは面白いこと考えるね」
「笑ってないで、アルも考えてよ!」
「大量にサインしなくちゃならない人間は、サインする代わりにハンコを使っているけれど、そういうの作れないかな?」
「ハンコ?」
インクを付けて紙に押し付けるアレだよね。手紙の封蝋に押す印とは違って、確か文字が逆になってるやつ。★まちがってる★
それを、この紙のサイズで作るの?
「言ってみたものの、現実的じゃないな。ハンコも一つ作るのに金細工師が長い時間をかけて仕上げるんだ。サイン替わりの数文字のものでさえすさまじい時間と費用が掛かる」
うん、確かに。偽造防止も必要なため、職人の数も少ない。金属を掘るための道具も技術も一部の人間にしか伝わっていない。
■38
「いらっしゃい。今日も早いわね」
ライカさんがいつもの明るい笑顔で迎えてくれた。
「注文はいつもの。それから、教えてほしいことがあるの」
早く来店したのは、空いている時間にライカさんと話がしたかったからだ。
「小さな子から大人までみんなが歌える歌を知らない?『お野菜一つ、くださいな~』みたいな」
「うわー、『お野菜一つ~』って懐かしい。えっと、他にはそうねぇ『かご、かご、ゆーりかご』とか」
いくつかの歌をライカさんが一節歌ってくれる。それをメモ。聞いたことのあるものもあった。後は街の人がどれだけ知っているのか調べないと。
「ありがとう、ライカさん」
「いえいえ、どういたしまして。リリィーちゃんはいつも新しい面白いこと始めるから、また何をするのかなぁってワクワクするわ」
そういってもらえると嬉しい。
「そうだ、ライカさん、貴族には気を付けて!」
ライカさんのような若い娘を狙って遊び捨てる貴族の放蕩息子がいるみたいだから念のため口にする。
「あ、貴族といえば……」

