棺桶に接吻



着飾ったナイフに裂かれた、死んだ細胞。

なかから、熟れたりんごと纏った蜜。



からいりんご。からい蜜。



千草とオカーサンはいっしょ。

そうしたら、千草も最初のヒトなわけで。



そうしたら、わたしは千草で。

千草はわたしで。



「ねえ、千草、」



ヒトは二回死なないし。

ヒトはたべられる。



「なに」



結晶になった細胞。

それをたべたわたし。


おばあちゃんの細胞はわたしの細胞になって。

わたしは、おばあちゃんになって。

おばあちゃんは、おじいちゃんになって。


わたしは最初のヒトになる。



「わたしが死んだら、」



わたしを流れる、おばあちゃんの細胞。

わたしを流れる、おばあちゃんの記憶。



わたしが死んだら、だれになる。

わたしが、二回目にシんだら、だれになる。