そう。ロキースには悪いが、エディには恋にうつつを抜かしている暇なんてないのである。

 おばあちゃんが見つかるまでは、女を捨ててトルトルニアを守る。

 それは、彼女が決めた道なのだから。

「エディ?」

 考え事に夢中になって、すっかりルタの存在を忘れていたらしい。

 ルタの声に、エディはパチパチと瞬きした。

「えっと、なんでもない。ただの、独り言」

「あら。義姉様(ねえさま)には言えないことなの?」

 赤い唇が、ニィっと笑う。

 獲物を見つけた猫のように、意地悪そうな笑みだ。

 エディは得体の知れない怖さを感じて、ブルリと背中を震わせた。