エディは不意に、先日の、ロキースとの一件を思い出した。

 自分では金メダルのように誇らしかった傷だらけの手が、まるでメッキが剥がれるようにみすぼらしく思えたあの時。エディは、ロキースの目から隠すように、拳を握った。

(あれは、もしかして、そういうことだったのか……?)

 好きな男の前では、いつだって可愛くありたいもの。

 それはつまり、ロキースの前では可愛くありたいと、エディが思ったということなのだろうか……。

「……って、オイオイオイ、ちょっと待て。たった一回会ったくらいで、グラグラしているんじゃない」

 僕にはトルトルニアを守るという使命が、とエディはすぐさま考えていたことを消し去った。