エマの生死も分からず、鍵も見つからない。
 それでも、ヴィリニュス家の人々は泣いてばかりもいられなかった。

 開け放たれたままの扉から、魔獣がやって来るからだ。

 魔獣は小さなものでも甚大な被害を及ぼす。

 たかがウサギの一匹くらいと侮ってはいけない。そのウサギ一匹で、家一軒が焼失するのだから。

 ヴィリニュス家が魔獣からトルトルニアを守ることは義務である。

 子供の頃から厳しく弓の稽古をつけられるのも、他の家より少しだけ立派な家も、全ては魔獣からトルトルニアの人々を守るためなのだ。

 当時十歳だったエディは、覚悟を決めた。

(大好きなおばあちゃんが見つかるまで、私はおばあちゃんの分も、トルトルニアの人々を守る)