熊は怖いが、獣人だとそう怖さは感じない。

 もしかしたら、人外じみた美貌に恐怖が負けてしまうのかも、とエディは思った。

 大きな体をこれでもかと小さくして、彼は分かりやすく傷ついているようだった。

 お茶を持ってきた時、ひどく慎重な手つきでこぼさないようにおずおずと差し出してきたから、とても心優しい熊さんなのかもしれない。エディが話の途中で礼を言うと、パァァと表情を明るくして「飲んで飲んで」とジェスチャーをしてきたし。

(同族の話を聞いて、自分のことのように反省している、のか?)

 エディはこっそり熊と思しき獣人を観察しながら、置かれていたティーカップに手を伸ばした。

 少し冷めてしまった紅茶には蜂蜜が入っていたのか、優しい甘さがエディの口の中に広がる。

 緊張に強張っていたエディの表情が、ゆっくりと解れていった。