「ヴィリニュスの鍵は、夕方になると決まった場所でしばらく止まる。もしかしたら、魔獣の寝床がそこにあって、休んでいるのかもしれない」

 だから、探索するのは明日にしよう。

 ロキースはそう言って、薄暗くなり始めた外を見た。

 いつもだったら、エディは帰る時間である。

 それは彼女も分かっているはずなのに、チラチラと窓を見ては、物言いたげな、でも躊躇うような視線をロキースに向けてくる。

 不安なのだろうか。

 ロキースにとって魔の森は実家のようなものだけれど、エディからしてみたら敵地のようなものだ。

 明日のことを心配しているのかもしれない。

 ロキースはエディを家へ帰すか少し迷って、お茶を入れることにした。