安堵したせいか、ポロリと溢してしまった失言に、ロキースは狼狽(うろたえ)た。

「ロキースの夢ってなに? 教えて?」

 よほど興味をそそられたのか、エディは泣き濡れた目をキラキラさせながら、ロキースの顔を覗き込んでくる。

 とどめに「お願い」と言われてしまっては、惚れた弱みもあってか誤魔化すことも難しい。

 だが、この夢はロキースにとって宝物のような思い出と結びついている。

 たとえエディのお願いであっても、いや、エディのお願いだからこそ、恥ずかしかった。

「いつか。いつか話すよ。でも今は、鍵のことを考えようか?」

 大人ぶってそう返せば、そうだったとエディの表情が引き締まる。

 少年のようだと言われる彼女だが、ここ最近は随分と女性らしくなってきたような気がする。

 惚れた欲目も多分にあるだろうが、きっと彼女はこの先、もっと綺麗になっていくのだろうなとロキースは思った。

 ロキースが夢を話せるようになった時、彼女はどんな女性になっているのだろう。

 そう未来に想いを馳せて、まずは鍵だなとロキースは緩んだ顔を引き締めた。