エディの脳裏に、ロキースにしなだれかかるルタの姿が浮かぶ。

(嫌だ。やめて。ロキースを、僕から奪わないで!)

 考えるだけで、胸が苦しくなる。

 自分を見つめていたように、蜂蜜みたいに甘い目でルタを見るのだろうか。

 あの大きな体で、ルタの細い体を抱きしめるのか。

(そんなロキース、見たくない……)

 ションボリと肩を落とすエディの前に、淹れたての紅茶が差し出される。

 蜂蜜が入ったそれに、涙が出そうになった。
 だって蜂蜜入りの紅茶は、ロキースがよく淹れてくれたものだから。

「ありがとう、エグレ」

「少し、休憩しましょう。お嬢様も、ミハウ様も」

「うん」

「そうだね」

 エグレが淹れてくれた紅茶は、ロキースが淹れてくれたものよりもしょっぱい味がした。