「意地悪で結構。夫がいる身で、他の男に奪われることを夢見ている方がもっと悪いよ」

「だって、レオポルドはつまらない。夢見るくらいなら誰にも迷惑をかけていないでしょう?」

「妄想だけなら、ね。でもねえさんは……いや、ルタさんは違う。僕からロキースを奪おうとしているじゃないか」

「だって、あなたはいらないでしょう? どうせ消滅してしまう運命なら、私を代わりにして生き(ながら)える方が幸せよ」

 ルタの言葉に、エディは激昂した。

(消滅なんてさせない! だって僕は、ロキースのことが大好きなんだから!)

 立ち上がった衝撃でテーブルが揺れて、カフェオレボウルが床に落ちる。

「ロキースは僕のものだよ。あんたなんかにはあげない!」