ヴィリニュスの鍵を取り戻すためには、なくてはならない大事なものである。

 てっきりポケットに入っていると思っていたが、もしかしたら昨日の追いかけっこの途中で紛失したのだろうか。

 手紙を大事そうに抱え込むエディに、ルタは唇に指を添えてクスリと笑んだ。

「あらあら、そんなに大事なものだったの? そんなに大事なら、失くしちゃダメよ」

「そうだね、ごめんなさい。届けてくれて、どうもありがとう」

「いいえ、お礼なんていいのよ。でも……その代わりと言ってはなんだけれど、一つ、聞いても良いかしら?」

 ルタの言葉に、エディは嫌な予感しかしない。

 彼女の聞きたいことは、いつだってろくなものじゃないからだ。