エディは咄嗟にケットを被って一時的にでも寝たフリをしようとしたが、遅かった。

 階段を昇りきったロキースと目が合う。

 エディを見るなりふわりと浮かんだ花のような笑みに、彼女の手からハラリとケットが落ちた。

「おはよう、エディ。ああ、良かった。目の下の隈、少し消えたみたいだな」

(あぁ、もう……好き)

 告げる勇気はまだないが、思わずにはいられない。

 これはもう、決定的だ。

 恋に限りなく近い感情、なんてものじゃない。

 胸の奥に灯るこの気持ちは、間違いなく恋情と呼ぶものだろう。

 気のせいか、ロキースの周りにキラキラと花が咲いているように見える。

 彼と自分の周囲の空間が、世界から切り離されたようにも感じる。

 二人だけの世界。なんて甘美な響きだろうと、エディはうっとりした。