リディアに見送られて、エディは走った。

 魔の森の、どの辺りを走っているのかなんて、もう分からない。知っている範囲はとうに過ぎて、見知らぬ場所をひた走る。

 息が苦しい。目の前の景色がかすむ。

 逃げなくちゃと思うのに、足が言うことをきかない。

 ふいに足元の感覚がなくなり、エディはガクリとその場へ膝をついた。

「も、だめ……」

 エディの上半身が、揺れる。そのまま地面に衝突か、と思いきや、そうはならなかった。

「あ……」

 追いついた凶悪な顔つきのロキースが、エディを掬い上げて抱きかかえたからだ。