苦しそうに息を弾ませて、それでも二人は走り続ける。

 だけど、体力の差は徐々に距離を縮める。

 突然、木の上から降ってきたルーシスが、リディアに手を伸ばす。

 クン、とルーシスの手に掴まれたリディアの手が、エディの手から離れていった。

「リディア……!」

「あー楽しかった! あなたはまだ走れるのでしょう? 追いかけっこ、楽しんで。私は、ルーシスと休むから」

 早々に戦線離脱したリディアは、ルーシスにお姫様抱っこされながらエディにエールを贈る。

 ヒラヒラと振られる手に振り返す暇もなく、エディは迫る足音に焦燥感を募らせながら、もたつく足を叱咤した。