(それもそうだねって言えたら、こんなことにはなってないんだよ、リディア)

 そう単純なことじゃないのだと、リディアへ文句を言おうと口を開いた時、急に強烈な怒号が聞こえてきた。

「見つけたぞ……!」

 ヴィリニュスの屋敷の方角から、すごい勢いで走り寄ってくる人物が二人。

 ロキースと、ルーシスである。

 ロキースは何故だか怒ったような顔をしていて、ルーシスはその隣でヘラヘラと笑いながら手を振っている。

(なになになに⁉︎ どういう状況なの、これは!)

「ルーシスぅぅぅ! 今日のデートはどこにするっ?」