森守の当主の証でもある、ヴィリニュスの鍵。

 それは、魔の森と人の村を隔てる防護柵の鍵である。

 五年前、当主であったエマの失踪と共に失われた鍵は、ロキースの『隠されたものの在り処を知り、財宝を発見する』という力のおかげで居場所を特定することができた──のだが。

「鍵は、ロスティ側の魔の森の中を移動している。だが、ディンビエの国民であるエディが、気軽にロスティへ立ち入ることは出来ない。たとえそれが、有事だとしても」

 自分だけならば可能だと、ロキースは言った。

「でも、エディは嫌だろう?」

 ロキースの問いに、エディは「その通り」と頷いた。