(あぁ、くそぅ。かわいいじゃないか)

 彼の腕の中で、クッションがグンニャリと歪んでいる。

 エディのことは、あんなに恐々抱きしめていたというのに。

「ふはっ。ロキース、なんて顔しているのさ?」

 せっかくの美形が台無し、とまではいかないが、少々残念な感じにはなっている。

 エディはクスクスと笑いながら、抱えていた膝を元に戻した。

「僕はさ、前は小さくて弱くて、守られるような女の子だった。大好きなおばあちゃんが馬鹿にされても、言い返せないような子だったんだ。僕はそれが嫌で、自分が許せないと思った。だから、大嫌いだった弓の稽古も必死でやったし、今までの自分を捨てるように女の子らしくするのもやめた。まさか、ロキースに見られているとは知らなかったから、驚いたよ。でも、なんだろうな……初めて頭を撫でられた時、心がホワホワしたんだ。それって、たぶん、ロキースの気持ちが、手から伝わったんだろうなって、今は思うよ。だから……ありがとうね?」