ガミガミと娘を嫁に出す過保護な父親のように、ミハウは彼女の取り扱いについて説明しだした。

 エグレは呆れたようにため息を吐いてから、一オクターブ低い声で「ミハウ様」と呼ぶ。

 ミハウとしてはこれ以上ないくらいの譲歩だというのに、中断されて面白くない。

 せっかくの可愛い顔を不細工に歪めて、彼はエグレをギロリと睨みつけた。

「まだ、言いたいことがあるんだけど?」

「廊下で、お嬢様をお待たせしているのです」

「それ、早く言ってよ。廊下で待たせるなんて、酷い。エディタ、もう大丈夫だから入っておいで」

 エグレの言葉に、ミハウは猫なで声で扉の向こうへと声をかける。

 そろりと入ってきたエディに、応接間にいた二人の男たちがホゥと感嘆のため息を吐いた。