エディより拳一つ分くらい背が高く、栗色の髪は後頭部で綺麗にまとめられている。黒いワンピースに白いエプロンという格好は、ロスティの大使館で見たことがあった。メイドだ。

 メイドは、ロキースを見るなり、ほんの少し驚いたような顔をした。

 それを見たロキースは、もしかして怖がらせてしまっただろうかと思った。

 実のところ、メイドは彼の優れた容姿と背の高さに目を見張っただけなのだが、元は魔熊な彼には思い至らないらしい。

 ヴィリニュス家のメイドを怖がらせてしまったと、帽子の中の耳はションボリと伏せっていた。

「ロキース様ですね。お待ちしておりました。ご案内致します」

「ありがとうございます」

 ロキースが礼を言うと、メイドはペコリと頭を下げた。