○●雨色ドレス●○

働く事数時間、夕方になって人もチラホラ増えてきた。

そして僕は、未だにこのケンチャンマートに馴染めないでいる。

いや、仕事うんぬんじゃないんですよ。

いや分かってます。分かってますって。これがただの自意識過剰ってやつだってことは。

十分承知しております。

今レジで素晴らしい笑顔を振りまいて、二年前よりもかなり可愛くなったあの女の子を、僕は振った。


『そういう風には見れない。ごめんね』

歩美の三年間の気持ちを、あの日僕は、たった一言で粉々にしてしまった。

いやでもまさかあの歩美が僕をそう思ってたなんて、そして気持ちを伝えるなんてそれこそ歩美らしくない大胆さだ。

僕に例えば双子の兄ちゃんがいて、その彼女がめちゃ好みで好きすぎてたまらなくなっても、無理矢理気持ちに蓋をしてガムテープでグルグル巻きにして南京錠をかけてしまうだろう。

だって絶対気まずくなるじゃん、その後。

真弓が離れてから、歩美を“そういう風”に見ようとしている僕は、素晴らしく都合のいい目と頭を持っているようだ。

押し寄せてくる後悔の小波。

今の僕なら、ちゃぷちゃぷの浅瀬でも溺死してしまうだろう。それくらい

焦っていて

どぎまぎしていて

足下にまとまわりついて離れない。