○●雨色ドレス●○

「上田くん?」
 
「うわっ!」
 
やばっ、昔の事思い出してたらボーっとしてた。
 
歩美が目をまんまるにして、首を傾げている。僕は、思春期真っ盛りなシャイ中学生バリの反射力で、サッと目を反らした。
 
「だけど本当にそっくりよねぇ。まゆちゃんとあゆちゃん。母ちゃん未だに間違えちゃうわよぉ」
 
母ちゃんが痛恨の一撃を(僕に)放った。歩美は、照れているのか苦笑いなのか分からない遠慮がちな笑顔を浮かべている。
 
「でも今じゃ、すっかり変わっちゃいましたよ。むしろ双子だってわからないくらい。あたしは何も変わってないんですけどね」
 
「あらまぁ」
 
「こないだなんて――」
 
 
……あー始まっっちゃった。
 
女が二人でも集まると、こういった半エンドレスな世間話が始まってしまう。だけども、歩美のやつ、昔より明るくなったような……あんなに楽しそうにハキハキ喋る歩美、初めてみた。
 
 
女ってほんとコロコロ変わるよなぁ。姿形も心までも。
 
 
婆ちゃんが新聞を読みながら尻をかいていた。
 
 
「婆ちゃんにもあったのかな……。乙女時代が」