「では、失礼します」



朔羅はわたしが産まれるのと同時に雇われたらしくて、物心ついた頃には一緒にいたからか、わたしのお姉さん的存在だったりもする。



「今日のネクタイは、赤なんだ」



そう言いながら、とりあえず洗顔など諸々の準備を始めることにした。



部屋から出ずとも、自室にお風呂も洗面台も備わっているから、朝の移動範囲は狭くて済む。



私立王日黒百合学園高等学校の制服は、女子は黒のプリーツスカートに白のブレザーを着る。その中に着るシャツやネクタイは自由。



ちなみに男子はわたしたちの逆になっている。



わたしのネクタイは大体朔羅が決めている。なぜなら、わたし自身が自分の容姿にはあまり興味が無いからだ。