「ノーマン様、我々は下がりますので、キサラ様とお話なさってください」
傷付いて放心状態になりかけたノーマンに、従者たちが声をかける。ノーマンは「わかった」と短く返事をし、キサラとルリの方を向いた。二人は見つめ合っており、ノーマンと目が合うことすらない。
従者たちが部屋を出ても、キサラはルリの方を見たままだ。声をかけるべきか悩むノーマンを見て、ルリがキサラの肩を叩く。
「キサラ、ノーマン様が困っています。キサラのために、わざわざ遠方からお越しくださったのです。私も下がりますので、ノーマン様とお話ししてください」
ルリがそう言うと、キサラはようやくノーマンを見た。しかし、その目はルリに向けていたような目ではない。どこか冷たい瞳だ。そして、鮮やかな紅が塗られたその唇が言葉を紡ぐ。
「この婚姻は、互いの国の利益のためにするもの。あんたの国には武力を、あたしの国には福祉の充実が約束されている。互いに発展するための婚姻。だから、わざわざ存在しない愛を伝え合わなくてもいいでしょう?」
傷付いて放心状態になりかけたノーマンに、従者たちが声をかける。ノーマンは「わかった」と短く返事をし、キサラとルリの方を向いた。二人は見つめ合っており、ノーマンと目が合うことすらない。
従者たちが部屋を出ても、キサラはルリの方を見たままだ。声をかけるべきか悩むノーマンを見て、ルリがキサラの肩を叩く。
「キサラ、ノーマン様が困っています。キサラのために、わざわざ遠方からお越しくださったのです。私も下がりますので、ノーマン様とお話ししてください」
ルリがそう言うと、キサラはようやくノーマンを見た。しかし、その目はルリに向けていたような目ではない。どこか冷たい瞳だ。そして、鮮やかな紅が塗られたその唇が言葉を紡ぐ。
「この婚姻は、互いの国の利益のためにするもの。あんたの国には武力を、あたしの国には福祉の充実が約束されている。互いに発展するための婚姻。だから、わざわざ存在しない愛を伝え合わなくてもいいでしょう?」


