僕の婚約者〜気高き戦乙女〜

「キサラ様?」

ノーマンがポカンとした顔で訊ねると、キサラはハッとした顔でスープに口をつけた。王族が他の人のものに口をつけるなど、ありえない。他の国の姫や王子から軽蔑の目が注がれる。それでもキサラはスープを、二口三口と飲んだ。

「……やっぱり……」

キサラは口元を押さえ、呟くように言う。刹那、その体はぐらりとその場に倒れてしまった。

「キサラ様!?」

ノーマンがキサラを抱き止め、大食堂は何が起こったのかとパニック状態になる。ノーマンの腕の中でキサラは体を震わせていた。

「あんたのスープから……変な臭いがした……。毒が仕込まれていたんだ……」

キサラが死んでしまう。そう思い、ノーマンは従者に医務室の医者を呼ぶよう命ずる。キサラはノーマンの手を弱々しく握った。

「大丈夫……あたしは……こんなことが起きても大丈夫なよう……毒に慣らされている……。でも……あんたがもし口にしていたら……死んでいた……。犯人は……外部の人間……だから……シェフを罰することは……許さない……」