まだ言葉がハッキリしないため上手く言葉にならない。
しかし怒っているのは分かる。
 リズさんは、それを見てクスクスと笑う。

「そんなに怒らないでよ……キラ様。
現に妖精族になって良かったでしょう?
 お姫様と一緒に居られるようになったし、
なにより皇族の呪縛逃れられた。
 あそこは、親族だろうと強い者が勝ち、弱い者は、負ける弱肉強食だったからね。
 もしキョウ様のお力添えがなかったら、事実死んでいたのだし」

 キラ君に重い言葉を突きつけてきた。
その言葉にキラ君は、複雑そうな表情をしていた。
 弱肉強食……。
前に似たようなことをキラ君も言っていた。

 平気で兄弟でも傷つける種族だ。
あの時、キョウ様が助けてくれたから転生して生まれ変わったが……もしそれが無かったら。
 そう思うと胸が張り裂けそうになった。
するとシンがギロッと睨み付けた。

「だとしてもお前は、護衛だったんだろ!?
 いくら妖精族としての潜入捜査だとしても、助けるぐらい出来たはずだ」

「えっ~ちゃんと助けたじゃん?姫様を。
 それに、そんなことも言ってもいいのかな?
せっかく獣族の新たな情報を持ってきてあげたのに」

「獣族の新たな情報……だと!?」

 リズさんの言葉にピクッと反応する。
新たな情報ってどういうこと?
 静まり返るとリズさんは、クスッと笑ってきた。

「獣族の皇帝……キラ様の父親が酷くお怒りでね。
 何せ一遍に息子を3人も亡くなったんだ。
特にキラ様は、時期後継者だったし、貴重なオッドアイだったからね」

「ですが、それは向こうのせいですよね?
 双子の兄達がキラに危害を加えたのですから」

 その言葉に反論したのは、ルイだった。
キラ君を抱っこしながらそう言った。

「まぁ……結果的にはね?しかし
どう勘違いしてか、全部こちら側が悪くなっていてね。
 3人を殺したのは、全てキョウ様……つまり。
妖精族が殺したことなっているんだよ。
 だからお怒りでね……もしかしたら、何か仕掛けてくるかもしれないから君らも気をつけて」

 まるで他人事のように話すリズさん。
私は、それを聞いて何で?と思った。
他人事のようなリズさんに対してもだし、何より
 何故全部こちら側が悪くなっているのだろうか?